共感を持続可能なビジネスに――「ドーバーストリートマーケットギンザ」は10月末にオープンハウスを行い、特別な商品の販売のほか、その魅力を分かち合うコミュニケーションを重視し、様々な体験イベントを企画した。デザイナーやアーティストの招待にも力を入れ、国内外から約60人が集まり、来店客やファンとの時間を楽しんだ。
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終日、ふり客も入場できるなかで「カルチャー的な背景やデザイナーの美意識といったコアな部分に触れる、対話的な要素を大事にした」と店の担当者は話す。例えば7階のカフェ、ローズベーカリーの一角では、ポーランド出身のアーティスト、ヤン・バイトリクさんによる筆書きのドローイング体験を実施。「エルメス」のスカーフをデザインした実績があり、予約した客と会話を楽しんで似顔絵などを描いた。盛り上げていたのは、ハロウィーン仕様の限定品を販売した「ダブレット」。デザイナーの井野将之さん自ら着ぐるみを着て菓子を配り、パフォーマーとともにおどけた演出で笑いを誘った。
各ブランドそれぞれにワークショップや刺繍入れなどを企画し、1日で10近くの体験イベントを行った。
音楽カルチャーの体験も大きな柱。アイウェアの「クボラム」はバンドの「サロ」を主宰し、アーティストも来日してライブを行った。ローズベーカリーは閉店後にはナイトクラブに変身。イタリアのニットウェア「ヴィッテリ」のデザイナーが縁のある日本のDJに声を掛けてパーティーを開いた。関係者は「ラグジュアリーブランドのインフルエンサーマーケティングがあふれるなか、そうじゃないデザイナーのネットワークやカルチャーに密接したファッションの面白さを共有できる場を作りたいと企画した」と話す。