22年春夏ミラノ・メンズコレクションで「ディーゼル」が新クリエイティブディレクター、グレン・マーティンスによるコレクションを発表した。新生ディーゼルのコンセプトやサステイナブル(持続可能)な物作り、ジェンダーフリーへの意識などを聞いた。
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15歳の時、アルバイトで初めて自分が稼いだお金で買ったのが、ディーゼルの茶色のコーティングが施されたデニムでした。セクシーな魅力があり、皆が憧れていました。ディーゼルは強いヘリテージに基づいています。アクティブで、楽しくて、セクシー。毎日着たくなるブランドです。ブランドが掲げる「フォー・サクセスフル・リビング」という人生を謳歌(おうか)する姿勢を表すスローガンを、自分としても推し進めていきます。
コレクションづくりのアプローチは、まず第一にブランドのヘリテージに基づきます。第二に、素材、布地の加工やマッチング、ミックス、グラフィックなどの実験的な試みです。
デザインの過程において、創造性のほとんどが、素材と布にかかっていると言っても過言ではありません。リサイクルペーパーを用いたり、コーティングしたり。デッドストックデニムを超立体的なスモック刺繍でニットのように着やすく仕上げてアップサイクルしたジャケット、ポインテッドトウのブーティーと一体化したジーンズなど、楽しみながらコレクションを作りました。アクティブなブランドなので、パターンもシンプルで、あとは着やすいことに留意するのみです。
私が別に手掛ける「Yプロジェクト」はコンセプチュアルなブランドですが、ディーゼルはコンセプトよりも素材と布。そしてユーモアを感じさせるデザインとなっています。
22年春夏コレクションの中で発表した「ディーゼルライブラリー」はジェンダーレスで長く着用できるデニムウェアが中心です。購入頻度を減らし、長く着ることができる永久普遍なワードローブです。サステイナブルなコレクションを構成する要素の一つで、今後も継続していきます。
未来の社会は、オールインクルーシブなものになると信じています。ファッションのコレクションも同じです。服を着る上で、宗教やセクシャリティー、金持ちかそうでないかなどを問うことなく、心のままにいられる。私はコレクションに、それを着たい人を反映させようと試みています。ファッションとは「力がみなぎる」と感じさせるものです。人は、そんな特別なものを創造してほしいと思っているのだと感じます。
(ミラノ=高橋恵通信員)