スペインの「デシグアル」 日本は今後の成長の柱

2018/10/24 12:30 更新


 【バルセロナ=石井久美子】スペイン・バルセロナのファッションブランド「デシグアル」は、日本とラテンアメリカ市場の拡大に取り組む。ビジネスの85%を占める欧州はすでに成熟市場のため、成長の余地がある市場に注目している。特に日本では、より戦略的に事業を拡大するためのパートナーを探したい考えだ。

 84年スタートのデシグアルはここ10年で約10倍の事業規模に成長し、17年の売上高は7億7000万ユーロとなった。急成長を支えてきたのが、「他社と差別化された個性的なデザインと独自のマーケティング手法」(アルベルト・オヒナガ・ジェネラルダイレクター)。地中海のブランドらしい明るくインパクトのある色柄やエスニック、パッチワークの要素など強いデザインが特徴だが、その背景には個性やハッピーを尊重するブランドの姿勢がある。デシグアルというブランド名も“他とは違う”ことを意味する。海に面した絶景の場所に本社を構え、従業員の自由なクリエイションやコミュニケーションをサポートする環境を整えている。

 現在、100カ国で販売しており、主力は欧州。本国やフランス、イタリア、ドイツでは90~95%の非常に高いブランド知名度を誇る。一方で、一気に商品が広がったため市場は飽和し、今年の欧州の売り上げは減収となる見通しだ。

 そこで期待を寄せるのが日本とラテンアメリカだ。今年はそれぞれ約10%の増収を見込む。アジアでは他の国の将来性も感じているが、現時点では日本の役割を重視している。知名度向上が課題として、今秋にも東京・表参道で期間限定店を開き、ブランドの原点であるパッチワークのデニムジャケットを発売したばかりだ。今後もこうした活動を続ける。日本では直営店21店(アウトレット含む)をはじめ、百貨店やセレクトショップ、ECなどで販売している。今後、FC店を運営できる企業や百貨店など「一緒になって取り組めるパートナー」を見つけ、さらなる飛躍を目指す。

地中海に面した解放感のあるオフィスから、個性的な服のデザインが生まれている
シーズンテーマに基づいて描いた絵柄を刺繍やプリントなどに落とし込む
本社には、サンプル製作などを行う部屋もある


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