24年秋冬にデビューする「ダイスケタナベ」(田邉大祐)は、歴史的な要素や伝統によって培われた手法に、現代の感性を結び付けて構築したワードローブが揃う。デザイナーの田邉は、京都大学の在学中にパターン養成学校で学び、服作りを始めた。卒業後は京都の細尾で生地作りに携わり、23年に独立してブランドを立ち上げた。
自分自身が納得のいく素材を使って、アイテムを一つひとつ完成させていく。そんな姿勢が、コレクションに反映されている。今秋冬は、伊「インカス」の植物タンニンなめし革を使い、京都で縫製したレザーウェアを揃えた。フロントがダブルジップになったライダーズジャケットは袖をグリーンのベロアレザーのリブで切り替える。違和感のあるディテールを加え、ベーシックを崩さずに強さを出す。そのバランスが特徴になっている。
25年春夏は、国内産地で作るニットも目を引く。デザインの発想源は、今年2月に英国のブライトンビーチで見た、火事で焼けた海上のアミューズメントパークの景色。「不安が漂う世紀末的なムードを、無彩色で表現」した。さらりとした肌触りのニットのプルオーバーやロングカーディガンにはその景色が細密に描かれる。「西陣織のアプローチを応用した」という。繻子、平、綾の組織が入り組んだニットは、軽やかなエレガンスを感じさせる。
一方で、ニットブルゾンはメリハリの利いた直線の切り替えがポイント。強撚のレーヨン糸を使った柔らかな着心地だが、インダストリアルな線で構築的に見せる。