《非会員CRMが変えるファッションビジネス①》「黙って帰るお客様」に声をかけられていますか?

2026/04/14 14:00 更新NEW!


 洋服が好きで、あるECサイトをよく訪れる人がいるとします。その人は欲しい商品が売り切れでも、すぐには諦めません。「また入荷するかもしれない」と思いながら何度もサイトを訪問します。しかしお店側にとって、この人は「無名のPV(ページビュー)」に過ぎません。名前も連絡先も分からず、声をかける手段がない。商品が入荷しても知らせることができず、お客様は気づかないまま別の店で購入してしまう。

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穴の開いたバケツ

 これは決して珍しい話ではありません。ECサイトの平均購入率は1%程度といわれており、残り99%のお客様は情報収集を目的に訪問していることになります。つまり多くのお客様は、ECサイトを「買い物をする場所」ではなく、「情報を得る場所」として使っているのです。

 では、その99%のお客様に対して何ができているでしょうか。従来のCRM(顧客関係管理)は「会員登録」を前提に設計されてきました。会員になってもらい、情報を蓄積し、個別にアプローチする。発想として間違いではありませんが、問題は「会員登録」というハードルの高さです。お客様にとって、見知らぬECサイトに個人情報を提供することは、決して気軽な行動ではありません。

 私が専門とするLINEを活用した個別配信では、さらに手間が増えます。友だち追加→会員登録→ID連携という3段階の手続きが必要で、各ステップで離脱者が生まれます。調査によれば、会員登録で半数以上、ID連携では8割のお客様が離脱し、最終的に個別配信の対象となるのはサイト訪問者のわずか数%にすぎません。どれだけ広告費をかけて集客しても、バケツに大きな穴が開いている状態では意味がないのです。

広告の費用対効果

 この「穴」の正体とは何でしょうか。それは「ECサイトを購入接点としてのみ捉えてきた」という発想であり歴史です。インスタグラムやXではボタン一つで気になる情報が手に入る時代に、ECサイトだけが今も「まず会員登録を」と求め続けています。お客様の視点で考えれば、明らかに時代とのズレがあります。

 もう一つ見落とされがちな視点があります。広告の費用対効果です。集客のために投じた広告費の恩恵を受けるのは、気になる商品を見つけて購入した会員の方のみ。一方で大多数を占める非会員の訪問者は「登録の壁」に阻まれ、そのまま帰ってしまいます。これでは広告投資のほとんどが無駄になっているとも言えます。

 次回は、このような登録の壁という問題を解決する「非会員CRM」という新しい考え方と、その具体的な仕組みについてお伝えします。

(ファナティック代表取締役/LINE認定講師 野田大介)

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