ファッション迷子のための相談アプリ「コーディメイト」 ドコモから独立、レリックと事業拡大

2024/08/07 06:28 更新


飯野さん(左)とレリックの黒木さん

 「Coordimate」(コーディメイト)は、NTTドコモグループの社内ベンチャーから始まったファッション相談アプリ。4月にドコモからスピンアウトし、アプリと同名の新会社が事業を担っている。当初から事業に伴走し、新会社にも出資する新規事業開発支援のRelic(レリック、東京、北嶋貴朗CEO=最高経営責任者)と協働で事業成長のスピードを加速する。

(永松浩介)

 開発の原点は、ドコモ出身で新会社代表である飯野健太郎さんの経験から。「学生の頃から服装がダサいと言われてきた。自分のようなファッション迷子の男性は多いのでは」という仮説だ。

 18~34歳を対象に、装いに自信のある人とそうでない人に話を聞くと、前者は相談できる親やパートナーがいて、店でも女性販売員に聞けるが、後者はその逆。とはいえ、後者もお金や時間がないわけではない。「市場はあるのでは」と踏み検証を始めた。

 サービス内容はシンプルだ。おしゃれに自信のない男性が自撮り画像を投稿し、メイトと呼ぶ女性がコメントするというもの。「投稿する男性がいるのか」「無料でメイトがコメントしてくれるのか」などSNSなどを使って検証を重ねた。最後は飯野さんが介在しなくても回るかを確認するため、広告を打った。

DLは3万件

 ランディングページのトラフィックを検証すると、想定を上回る6800人がページに訪れ、750人がサービスに触れた。結果を踏まえ、商用化が決まりレリックに開発を依頼、22年7月にiOS向けサービスを、昨年12月にはアンドロイド版もリリースした。

 7月上旬時点のアプリのダウンロード(DL)数は3万件弱で、相談とコメントは4万件を超える。相談者は10代後半~20代後半と、30代後半~50代前半と大きく二つに分かれる。メイトは大学生~40代前後が多い。

 投稿者やメイトなどユーザーは現状無料で、キャッシュポイントは法人を想定。既に大手ディベロッパーやアパレルと話を始めている。アプリを通じて店舗への送客などに役立て手数料を得る。活発なやり取りが増え、行動データが取れれば、さらに提案メニューの幅も広げられるとみる。

 例えば、メイトが相談者に合うコーディネートやアイテムをショッピングリストとして相談者に販売したり、リストの商品リンクをアパレルのECサイトにし、送客先から手数料をもらったりといった具合。飯野代表は、「もっと利用頻度を高める必要がある。平均で1.5週から2週間に1回が当面の目標」と話す。

 パートナーであるレリックの黒木裕貴さんは、「5月に導入した『AI(人工知能)診断機能』など共同開発した新しい技術を今後も取り込み、ユーザーへの提供価値を高めたい」と言う。

正解より世論

 飯野さん自身の経験から、ユーザーは「加点」が欲しいのではなく、「減点」されたくない層で、「正解」より「世論」を味方につけたい人たちとみる。そこを取ったのが「ユニクロ」で、マーケットは大きいという。メイトに相談できる機能を他市場で転用する話も具体的に進んでいるという。

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