ここのがっこう×富士吉田 4回目を迎え進化する受講生の展覧会

2024/04/19 15:00 更新会員限定


 「ここのがっこう」は、山梨県富士吉田市で23年受講生の展覧会を4月21日まで開いている。東京から近い産地で、デザイナーと物作りの現場を近づけようと始めた同展覧会は、4回目を迎え、一段と見応えのある作品が揃った。

(須田渉美)

ユニークな視点で

 市内の空き家物件を生かし、メイン会場のフジヒムロを含めて6カ所で発表が行われている。参加者はアドバンスドコース17人、マテリアル&マターコース20人。プライマリーコースとプレアドバンスドコースは合同展示を行った。その多くは20代だが、デジタルの手法に頼らず、アナログのプロセスを取る姿勢が目を引いた。

 〝立体のドローイング〟を自在に操るのは喜多川幸奈さん。今年3月に東京芸大建築科を卒業し、洋服の原形にとらわれず、立体の模型を作ってオーダーメイドに取り組む。依頼者は、様々な形状を描いたリストから好きなものを選び、スカート、ズボン、ワンピースなどの作りたいアイテムを決める。喜多川さんは、それらを融合してイメージ画を手描きし、依頼者に納得してもらった後、発泡スチロールを刻んでミニチュアの模型を作る。それを元にパターンを起こし、原寸大に置き換えて服を作る。会場には、なみなみスカート、ぽてぽて袖のシャツなど造形に富んだ洋服と模型が並んだ。

ドローイングから模型を作り、豊かな造形の服作りをする喜多川幸奈さんの作品
モチーフを発展させて洋服の形を描き出す創造力が目を引いた喜多川幸奈さんは立体の模型からパターンを起こす

 友人とともに「ジェイキッド」というブランドを立ち上げた村山達也さんも、ユニークな造形のワードローブを見せた。アニメや映画のキャラクターを念頭に曲線の輪郭を強調し、夢の中で生きているような感覚を表現する。トラックパンツは裾に向かってスクエア型に膨らみ、MA-1をベースにしたコンビネゾンは背中が大きく膨らんでドレープを描く。「あいまいな形だからこそ、何にでもなれる。新しい自分を楽しんでもらいたい」という。

関連キーワード会員限定ピックアップニュース



この記事に関連する記事