伊メンズクロージングブランド「カルーゾ」は、三陽商会の「サンヨーコート」と協業し日本製コートをイタリアなど欧州の販路で来年から販売する。日本市場での販売も計画している。今回の協業は、日本アパレル・ファッション産業協会の「Jクオリティー・ファクトリーブランド・プロジェクト」で、伊フィレンツェのメンズ総合展示会ピッティ・イマージネ・ウオモの1月展にサンヨーコートがゲストブランドとして出展したことがきっかけとなった。
(大竹清臣)
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カルーゾの担当者が高く評価したのは、日本製の綿100%ギャバジンを使い、青森のコート専門の自社工場で縫製したサンヨーコートの「100年コート」シリーズのダブルのトレンチコート。肩から裾にかけてゆがみやよどみがなく、整然と生地が落ちるようなシルエットを理想に掲げた縫製は、真っすぐ縫うだけのように見える部分に〝引き縫い〟という技術を駆使。コートの顔ともいえる襟部分は、内側はカーブに合わせて手作業のまつり縫いにするなど随所に見られる熟練職人の技が注目された。協業品はJクオリティーのプロジェクトのメンバーでもあった内田染工場が深みのある中間色に染色した。
今回の協業の橋渡し役となったJクオリティー同プロジェクトの特別アドバイザーのユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文氏は「カルーゾはウールを使ったテーラードアイテムは得意だが、綿コートを仕立てる技術はないので、世界トップクラスの青森工場との取り組みを望んだ。高い技術力がある日本の物作りは世界でも高く評価されており、海外でのビジネスが広がる可能性は大きい」とみている。
