商業の世界に身を置く経営者として今日私があるのは、多くの先輩方の教えあってのことです。今回はその中でも恩師と言えるお二人について書きたいと思います。
一人目の恩師は、大学時代にご指導をいただいた片岡一郎先生(故人)です。
その頃の私は高校からヨット部に入り、大学でも学校より海に通う方が多い毎日でした。しかしそんな日々は、大学2年の時に家業がハワイ出店を決めたことで一変します。「まずは通訳として着いて来い」と社長であった父に言われたものの英語もろくに話せず、慌ててマンツーマンの英会話スクールで特訓を受け、何とか秘書兼通訳を務めました。
その後も家業の海外店舗は増え続け、私は授業もそこそこに海外店舗の手伝いに奔走していました。そうした中、仕事のためになる勉強がしたいと思い立ち、特にマーケティングに興味を抱いた私は、大学3年から片岡先生のゼミの門をたたきました。
当時、慶應義塾大学は日本初のビジネス・スクールを設立し、片岡先生は第3代校長として経営実務家養成にあたっておられました。そんな片岡先生の教えは「ビジネスに必要なものはクリエイティビティー」「モノを売るよりも価値を売れ」など、現代のビジネスにも通じる当時の最先端。片岡ゼミで学び続けた考え方は、間違いなく私を生まれ変わらせたと思っています。
(横浜岡田屋代表取締役社長 岡田伸浩)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。