私たちが力を入れているものにマナー・コミュニケーション研修があります。社会人として基本的で当たり前のことのように感じられるかもしれませんが、経営幹部も学び直して、あやふやだったことを改めていこうと取り組んでいます。
当社の従業員は800人を超え、うち650人以上が〝パディさん〟と呼ぶパートの方々です。パディさんもホテルでの1日がかりのこの研修を受けていただいています。普段は物流の現場で動きやすさ重視の格好で働く皆さんが、スーツなどきれいな服装で外部の講師による演習に和気あいあいと参加するのを見るのは、うれしいものです。
こうした活動を10年以上続け、実際に職場の雰囲気が良くなり定着率も高まりました。かつては周りに悪い影響を与えてしまう排他的な人もいましたが、社風の変化とともにそのような問題もなくなってきました。たとえ仕事がよくできる人でも、もめごとを起こす人に対処することは全体のエネルギーロスになります。
大がかりな研修会をはじめ、直接雇用の850人という人員はコストとも言えますが私は逆にエネルギーの塊と考えています。一人ひとりが楽しく、やりがいを持って働き続けられる。そして「知らないうちに、仕事にのめり込んじゃう」みたいな会社になれたら結果的に利益もついてくるでしょう。集中力や意欲などの「見える化」で手応えもあり、その先を狙って、よりゲーム性のある施策も検討中です。
(オーティーエス社長 田中優一郎)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。