ブルネロ・クチネリは、ミラノ・コレクションのオンスケジュールで初めて発表した。これまで、プレゼンテーション形式でラフに見せてきたが、オンスケジュールに名を連ねることで変化する時代にしっかり見せていきたいという意気込みだ。
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ショー会場に選んだのは、ブランドの拠点ソロメオ村。広大な草原を背景に、柔らかな光と風を感じながら自由に歩く様子から、開放的で心地良いブランドのムードが伝わってくる。そこに登場したのは、ライトグレーやダスティーブルー、クリームのパンツスタイル。淡い色のトーン・オン・トーンがいつも以上に優しく映る。軽やかなテーラードジャケットをパンツにタックインし、ローブのようなソフトなロングカーディガンを羽織る。リラックス感のあるゆるやかなパンツ、ガウンのような柔らかなコート、足元はがっしりとしたサイドゴアブーツ。日常にフィットするアイテムにシャツやジャケットを組み合わせることで、クチネリらしいスマートなルックに仕上げた。
ショーの後、モデルの前に登場したクチネリは、大地の大切さや人間の尊厳について約10分語った。「コロナ禍は、私たちが大地と生命の関係を考えるきっかけになった。大切なのは、恐れを希望に変え、変化を受け入れること。正しい成長、適当な利益、それらについて考える必要があるのです。9月にはミラノで発表すると思います。その時まで皆さんお元気で」と語った。
(青木規子)