インターネットラジオの音声だけで服を企画 「アテリエ」石崎代表、「レショップ」金子コンセプター兼バイヤーに聞く

2020/06/09 11:00 更新


 東京・南青山のプライベートセラー「アテリエ」の石崎孝之代表とベイクルーズグループのセレクトショップ「レショップ」の金子恵治コンセプター兼バイヤーは4月末から、インターネットラジオ番組「耳録」をスタートした。「目ではなく、耳を肥やす」をコンセプトに、1回の放送につき、1着の服をデザインし、翌放送日までに作り、売るという企画。音声のみで、写真や動画は一切ない。「ポッドキャスト」を通じて毎週木曜午後10時に約1時間配信している。2人に聞いた。

(友森克樹)

 石崎 服の見え方、伝え方が、対面からインターネット、文章から画像、動画と進化してきたなか、目で服を判断する傾向が強まっていると感じます。視覚的情報に頼ることなく服を提案・販売できたら面白いなと考え、番組を始めることになりました。収益目的ではなく、完全に興味本位でやっています。

 これまでにスリーピングシャツ(4万4000円)、サファリショーツ(2万5000円)、M‐65タイプのシャツジャケット(6万8000円)を販売してきました。我々以外に作り手が1人いて、その方に毎週1点ずつ製造を依頼しています。商品の質はかなり高いのですが、現物を一切明るみに出すことなく販売するため、質に対する価格は抑えています。購入希望の場合、メールで応募していただくのですが、毎週予想以上の応募があって驚いています。

 視聴者層の把握はできていませんが、現時点ではおそらく、私か金子さんの知人・友人が視聴・購入してくださっていると思います。そのため、聴覚情報のみでも売れるのでしょう。我々を全く知らない人たちにも視聴・購入してもらえるようになるのが理想ですね。

「耳録」のパーソナリティーの石崎孝之さん(右)と金子恵治さん

 金子 バイヤー同士が一つのものを考え、作るということは、普段の仕事であまりないことなので、取り組んでいてとても面白いですね。短時間で服をデザインする難しさもある一方、発想の瞬発力が養われますし、エンターテインメント性があります。

 番組の冒頭に何を作るか品目を決め、キーワードを出し合いながら服をデザインしています。互いの感性がぶつかって混ざり合い、研ぎ澄まされ、一着の服が完成していくというのが良いですよね。

 みなさん服の売り方って色々と考え、悩む人も多いかと思うのですが、こういう活動をたくさんの方に知ってもらい、「小資本でも意外とやれるんじゃないか」と勇気が出る人が増えたら良いなと思っています。

 石崎 服の作り方、売り方にルールってないですよね。今はユーチューブで物を売る人がたくさんいますが、10年前はありえないことでした。本当に自由なんです。

 今のところいつまで放送するかなどは決めておらず、やれる限り、週1回の配信を続けたいです。ただ、毎週服を作り続けるのも大変なので、その時々で我々が盛り上がれることをやっていきたいなと考えています。

(敬称略)



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