旭化成「ベンベルグ」事業が復旧前倒し 裏地向け銘柄再開へ

2025/09/03 06:26 更新NEW!


 旭化成はキュプラ「ベンベルグ」事業で、長繊維の復旧や短繊維の増設などを進める。長繊維は当初計画より3カ月前倒しし、供給を絞っていた裏地向けの原着糸など品揃えを戻す。別系統で生産する短繊維は好調な需要を受け、来年に倍増する。

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 22年4月に起きた火災の後、順次復旧を進め、23年秋には火災前の7割水準まで戻していた。残る連続紡糸設備については26年4月稼働に向けて準備してきたが、1月にも稼働できる見通し。これにより、火災前の生産能力2万2000トンに対し、9割水準まで戻ることになる。連紡設備のデニールは裏地向けなどが主軸で、供給を絞っていたシャンブレー用の黒原着糸などの品揃えを戻す。

 一方、短繊維も増設する。ベンベルグは、一般的な合繊短繊維のように長繊維を加工して作るのではなく、別ラインで専用わたにする。「これまで泣かず飛ばずだったが、他繊維との複合で引き合いが増している」(西澤明常務執行役員マテリアル領域担当補佐=コンフォートライフ事業担当)といい、綿、ポリエステル、レーヨン混などの風合い向上などが支持され、スパンレース用途も好調。

 もともと2台あるうち1台を停止していたが、これを2台に戻す計画で、26年4月を目標に生産を開始する。



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