帝人フロンティアは、主力素材の新規開発や海外販売の拡大に注力している。26~27年秋冬向けファッションテキスタイル・製品では、機能性ポリエステル「トリクシオン」に注目。今までは梳毛調ポリエステルとして打ち出していたが、組織や加工を工夫して提案の幅を広げ、今後は欧米への輸出を強化する。
トリクシオンは天然繊維調のナチュラルな外観とストレッチ性やポリエステルならではの速乾性など機能を兼ね備える。01年に発売し、主にレディスブランドに支持され、この1、2年はメンズの引き合いも増えているという。
国内向けが中心だが、海外も伸びている。昨年、ポリエステル繊維製造拠点のテイジン・ポリエステル・タイランド(TPL)で、トリクシオンを含むコンジュゲート長繊維の生産設備を増強。これにより欧米への輸出に拍車がかかった。
糸から生地、製品売りまで対応している。糸の生産はTPL、縫製は東南アジアの協力工場で担う。生地の多くは日本で作っているが、今後はタイ・ナムシリインターテックスも活用し、東南アジアでの一貫生産体制を充実する。
トリクシオンを使った26~27年秋冬向けの生地では、重い素材で目付け400グラム台もあるヘビーウェイトのウール調が新鮮。「欧州で重量感のあるテキスタイルが好まれる傾向がある」(衣料マーケティング部マーケティング課)と企画した。麻調や緯に高機能ポリエステル「シフォラ」を打った交織なども作った。
製品では、トリクシオンの持ち味である落ち感を生かし、テーラードの要素を加えたきれいな服を充実。スーツのセットアップは、ジャケットやボトムをカジュアルなアイテムとも合わせられる仕立てにし、単品でも訴求する。
10月に東京支社で開いた26年秋冬衣料展では、異型中空繊維「オクタ」の二重織りや緯糸挿入トリコットも初めて見せた。ハイバルキー紡績糸「マーフィル」はジャージーのみの提案だったが、布帛を加えた。

アニマルフリーや暖冬を背景に「需要が高まっている」中わたにも注目。衣料繊維と産業資材の様々な部署が用途に合わせて作っており、展示会場では五つの主要な中わたを一堂に揃えて紹介した。「ここまで大きく展示するのは初めて。自社の総合力をアピールしたい」とする。

