アンリアレイジは6月16日から7月2日まで、ブランド設立20周年を記念した展覧会「A=Z」を東京・南青山のスパイラルガーデンで開催している。コロナ下に行ったデジタルコレクションから、パリで開催した最新作まで6シーズン分を凝縮した企画だ。展示を通してデザイナー森永邦彦の物作りに対する考え方に触れることができる。
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同展に並ぶのは、非日常から日常を取り戻していく過程で作られた服。世界中が非日常を体験した20年から、徐々に日常が戻っていく日々の心の移り変わり、考え方の変化を思い起こさせる。森永の「日常と非日常を地続きにさせる対極的な思考」を形にした。
会場の中心に設置された黒い幕の中では、22年9月に楽天ファッション・ウィーク東京のバイアールで発表したショーをコンパクトにまとめた。内容は、20~22年に行った4シーズン分のデジタルコレクション。横一列に並んだ実際の服の前に、幻想のようにデジタル映像が浮かびあがる演出は、夢とうつつを行き来するかのような気分になる。
その右手では、久々にパリ・コレクションに復帰した23年春夏コレクションを展示。ブランドの原点でもあるパッチワークに立ち返った。その周辺の壁には、20年分の作品の写真を展示するとともに、シーズンごとに掲げる森永の言葉も展示している。
奥の円形エリアでは最新作を展示。紫外線を浴びるとカラフルに変身する白い服を、メリーゴーラウンドのように回転する装置に乗せて見せた。
森永は今後について、「20年は長いようにも感じるが、ブランドの人生はこの先20年、さらに先がある。ファッションなので変化はあるはずだが、どんなに時代が変わっても残るものを、この先の20年もやりたい。これまでの20年の中で残ったパッチワークやテクノロジーのコレクションのように。螺旋(らせん)が横に広くなるイメージよりは、同じところを行き来しながら見える景色が少しずつ変わるイメージです。同じことを継続するのは実はすごく忍耐が必要。逃げずに、その中でいかに新しいことができるか。挑みたい」と語った。