「お茶の水博士、恐るべし」。2000年代初頭に初めて見た「ランバン」のショーの後、そうつぶやいたことを覚えている。ふくよかな体形のアルベール・エルバスのことを当時、勝手に漫画「鉄腕アトム」に登場するお茶の水博士と重ねていた。
「クリツィア」からランバンへと移り、老舗メゾンを鮮やかに復活させていくアルベールのクリエイションに心を奪われた。その高いクリエイションとともに、ショーのフィナーレに登場するちゃめっ気たっぷりの振る舞いがほほ笑ましく、人々から愛された。ショーの規模が大きくなっても、会場は温かくファミリアな雰囲気にあふれていた。それもアルベールの人柄ゆえであろう。