「アニエスベー」が京都・祇園に新コンセプト店 創設者が愛した地でDNAを表現

2023/04/28 12:30 更新


のれんとブランドロゴが目印

 「アニエスベー」は、京都に新たなコンセプトショップとして祇園店をオープンした。日本進出40周年を迎える節目の今年、様々な企画や催しを発信する中の一つだ。創設者のアニエス・トゥルブレが好んで訪れていた京都での出店を通して、40年間の感謝を込める。これから出会う人たちとの接点にもなるようなブランドのDNAが詰まっている。

(松本寧音)

町屋を生かして改装

 店は祇園・花見小路の中心地。町屋を1軒丸ごと改装した、2階層の路面店(売り場面積は184平方メートル)。建物の構造を生かし、部屋や障子、中庭はそのままに。靴を脱いで入る畳の部屋もある。一部外履き用に石膏(せっこう)で整えた部屋もあるが、1畳ずつの区切りは残すなど名残りがある。75年にパリ1区レ・アール地区ジュール通りにオープンした1号店も、もともとは精肉店だった。別の用途で使われていた建物を尊重しつつ、生まれ変わらせるのは「アニエスベーらしい発想」ともいえる。

光が差し込む中庭。シーズンには桜が咲く
骨組みや畳など、町屋の良さを生かして改装

日仏の要素をミックス

 のれんをくぐると1階はカフェ。「オーバービューコーヒー」のいれたてコーヒーを味わえる。仏アルザスのレストランで修行を積み、現在は京都のレストラン「チェンチ」でスーシェフを務める渥美彰人氏のフードメニュー、京都のベーカリーカフェ「カンフォーラ」を主宰するパティシエの丸橋理人氏が考案したデザートメニューなど、パリの食文化も和の空間で楽しめる。テーブル席のほか、団体で利用できる部屋もある。

いれたてコーヒーなどを提供するカウンター。奥のテーブル席でくつろげる

 店舗のデザインを手掛けた柳原照弘氏がクリエイティブディレクターを務める「1616/アリタジャパン」とアニエスベーが協業したオリジナルカップ&ソーサーなども展示、販売する。

 2階ではブランドを体現するアイコニックな商品を扱う。今回はデザイナーのアニエス・ベーが撮影したフォトプリントシリーズや「カーディガンプレッション」の豊富なバリエーションが主役の商品構成。最新のコレクションに加えて、アーカイブもミックスして陳列している。アニエス・ベー自らが散歩中に拾った貝殻や石で作ったアクセサリーなど、ここでしか手に入らない商品もある。1~2カ月の頻度でラインナップががらりと変わる。

アーカイブも交えた「カーディガンインプレッション」
アニエス・ベーが散歩中に拾った貝殻や石で作った、店舗限定のアクセサリー

 バッグや革小物の品揃えは、カメラが好きなアニエス・ベーがカメラバッグからインスパイアされてデザインしたショルダーバッグなど、象徴的なものに限定する。「売り上げではなく、アニエスベーを体感できる場所として楽しんでもらいたい」思いがある。フルラインナップは、府内の近隣店舗を案内する。

カメラバッグをモチーフにしたアイコニックな「アンジェル」

日本をテーマに

 40周年に際した企画は3章構成。第1章のテーマは日本だ。京都での出店を皮切りに、4月29日から1カ月間、生口島(広島県尾道市)と瀬戸田をジャックして特別な宿泊プランを提供したり、日本の生産拠点を取材したウェブコンテンツを発信したり、5月にかけて様々な企画を打ち出す。第2章はパリをテーマに、秋ごろにスタートする予定。



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