丸編みで知られる和歌山産地のテキスタイルメーカーのエイガールズは、自社製品ブランド「MALU」(マル)をリブランディングした。天然繊維のなめらかな質感は引き続き大切にし、素材や色、品揃えを増やした。産地の物作りに裏打ちされた上質な製品を海外にも広げていく。
【関連記事】《私のビジネス日記帳》輸出の基盤はブランディング エイガールズ社長 山下智広
立ち上げは5年ほど前。素材をシルクとカシミヤに絞り込み、縫い目がなく肌あたりが良い丸胴編みで仕立てたレディスインナーを販売してきた。体に沿った丸みのあるラインが女性の美しさを引き立たせ、「一度着るとリピート購入する客が多い」(副社長でマルファブリックディレクターの山下装子さん)という。
リブランディング後に初となる26年春夏では、コットンのシリーズを新たに作った。海島綿を用いた商品は、シャツ地を主力とする伊素材メーカーのアルビーニと糸を共同開発。強く撚った糸を丸編み機で編んだ生地はシャリ感があり、服にシャープな印象を与える。スビン綿100%のタイプは白と黒の2色展開だ。来春夏物は計31型で、初めてカーディガンやパンツなども揃えた。使う素材は全部で6種類。モノトーンをベースにしていたが、今回、ベージュやブラウンといった色も採用した。
クリエイティブディレクターには曽根英理菜さんを迎えた。曽根さんは大手セレクトショップでキャリアを積み、21年にジュンでインナー「ヨービオトープ」を立ち上げた実績がある。「インナーは肌に近く、一番心に響くもの」と曽根さん。マルが徹底してきた素材へのこだわりに共感し、「和歌山の産地で作っていると生産背景を語れるため、人に安心して薦められることも強み」と参画した。

ブランドロゴやパッケージはグラフィックデザイナーで美術家の田中義久氏がデザインした。来春にはブランド公式のECをリニューアルオープン予定で、今後は海外販売も本格化したい意向だ。
