アパ工連 加工賃の交渉支援サービス「ACCT」普及、拡大へ 専門学校に提供、見積書ありきへ

2024/02/05 06:26 更新


 日本アパレルソーイング工業組合連合会(アパ工連)は、縫製加工賃の交渉支援サービス「ACCT」システムのさらなる普及を目指し、今年から服飾専門学校を中心にした学校法人への無償提供を開始する。教育の現場で次代を担う学生に学んでもらい、「見積もりが存在しない古いアパレルの商習慣を見直す動きに拍車をかけたい」(白石正裕副会長)としている。

 アパレルの商習慣で委託者と受託者の間に見積りが存在しないことは、全業種の中でも異例だ。「外国人技能実習生への賃金不払いなどの不正の発生も古い商習慣が要因」との考え。こうした状況の改善のため、アパ工連では17年にACCTシステムを開発、18年に運用を始めた。

 素早く適正な加工賃を算出し見積りを作成できるクラウドサービスで適正な取引を目指したが、コロナ下は普及活動が停滞した。工場の利用者は約40社にとどまる。

 今回のACCTシステムの学校への無償提供に向けては、既に大阪と東京で説明会を行った。3月には名古屋でも予定している。今春から授業で活用を見込む学校もあるという。

 同時に工場への普及に向けて、マニュアル動画の作成やリモートでの勉強会を計画する。アスモ大阪(旧大阪ミシンショー)でもPRする予定だ。

 今後、「見積書ありきの縫製加工賃交渉を習慣化させるためには、工場側とアパレル(商社含む)側の双方で古い商習慣を見直す合意が必要」と強調する。この流れを経済産業省も後押ししており、業界に向けて作成した資料で「繊維業界の適正取引の推進と生産性・付加価値向上に向けた自主行動計画」「自主行動計画の徹底プラン」などの項目で触れている。



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