海外エージェントのギャラ(阿賀岡恵)

2014/07/02 10:58 更新


タイムイズマネー&パワー。ビジネスしていると時間と労力をお金に換算するクセがついてきます。ヤな習慣ですね。でも必要不可欠なんだな。外部にしろ内部にしろ、誰かに仕事を頼むという事は、その人の能力とパフォーマンスを査定しなければいけないという事なんですが、互いに納得のいく形で着地点を見つけようと思うと必ず交渉が必要になってきます。

押しが強くてハッキリしている欧米人とお金の交渉するのってホント疲れます。言語も文化も違うので、相手の立場もくんであげて・・・なんて日本人的な思いやりの精神で接していると必ず劣勢になります。

ビジネスのフィールドにおいてはドライで狡猾な彼ら、油断していると友達の寝首だって掻っ切る勢いです。欧米ではギャラの交渉で裁判になるケースもあるぐらいなので、押されて納得がいかないまま合意すると、後々のパートナーシップが不健全になっていくでしょう。なので、良い関係でいるためには、互いに主張し合って落としどころを見つけるまで頑張らなくてはなりません。

前々回のレポート+で、海外エージェントとどう働くべきか、という事について書きました。今回はその続編という事で、実際にはどんな事をどのぐらいのギャラで依頼しているかについて、公表できる範囲で書きたいと思います(■前々回のレポートはこちら)。

エージェント、ディストリビューター、PRオフィス等々、得意とするプロフェッショナルによって色々な呼び方はありますが、そのギャラは、何をどこまでやってくれるかで決まります。

セールスのみを委託する場合、売上の12~18%ぐらいをコミッション(手数料)としてとるのが平均だと思いますが、この場合、シーズンのオーダーをまとめて流してくるのみで、その後はお金の回収から納品まで、全てブランド側の責任で行われることになります。一般的にヨーロッパはお金の回収にかなり苦戦するので、前払いを貫いていると、実際は納品にまでたどり着かない事もままあります。

これは私見ですが、代金回収に関しては、回収する手間や結局セールスにつながらない場合を考えると、よほど自分でやりぬく自信が無い限りは、現地のエージェントに委託してしまった方が良いと思います。商品自体を買い取るディストリビューターになると、30~40%ぐらいの手数料を取るところもあります。

AYAMEの仕事の頼み方ってちょっと普通のケースとは違うかなと思うのですが、けっこう細々とした仕事(雑用含む)を頼んでいます。なぜならウチの商材である靴下って小間物の雑貨なので、状況に応じ機転を利かせた細やかな動きが重要になってくるからです。

なので、ビジョンを共有する事に時間やパワーを割いた上で、ある程度のところまで判断を任せています。現在、AYAME SOCKSで現地のエージェントに頼んでいる仕事は以下のとおりです。

1. セールス

2. PR

3. 商品代金回収

4. デリバリー ※欧州受注分をまとめてエージェントの所に送り、そこから転送

5. アロケーティング ※代金回収不可で納品できなかった商品の転売

6. リストック ※フリー在庫を預けて、店からの追加対応

上記の仕事を委託し、前年のセールスとパフォーマンスを考慮し、20%強を目安にコミッションとして算出して、それを月割にしてリテーナー(月額報酬)として支払っています。ついでに言うと、セールス以外のところでも細かくターゲットを決め、インセンティブを設けています。

しかしながら、上記の3番目の仕事「商品代金回収」がやっぱりくせもので、同じことを日本でやればそんなに苦労は無いと思うのですが、イギリスでやろうと思うと発狂寸前レベルの仕事になります。というか発狂しとります笑。

なので、すんごい面倒くさい仕事をやらされている気分になるのでしょうね。毎回、ギャラ交渉の度に向こうの主張として上位にあがってきます。でも、それってイギリスのせいであって私のせいじゃないんですけどねえ。

ここからは個人の属性だと思うのですが、ウチのエージェントさん、毎回かなり強引に交渉してきます笑。まー、なんか、押しが強いっつーか、よくもまあそんなに堂々と「自分の時間はプレシャスだ」と主張してくるなと感心します。

ま、でも、その位じゃないととっくに消えているだろうし、こんな資力のない無名ブランドを名だたる店に押し込められないと思いますけどね。もちろん、彼の功績は評価に値します。

文化の違いもあるのでしょうが、まずはハイボールを投げてくるのは欧米の交渉スタイルです。

数年前の私はというと随分おぼこかったもので、ギャラ交渉の度に気をもんでいたのですが、おかげさまで鍛えられ、今では、相手の意見も尊重するけど、それと同じぐらいに自分の意見も主張することに慣れてきました。相手がハイボールを投げてきたら、すかさずローボールを投げ返します笑。

どんな仕事でもそうですが、相手へのリスペクトを忘れず、誠実でさえいれば、必ず落としどころは見つかります。ディスカッション(アーギュとも言える)している最中は、前々回のレポートで書いたような和やかなムードは皆無ですが、負けじと言いたいことを主張し合うのは、なかなか気持ちの良いものです。そして、信頼しているからこそ出来ることでもあります。

そんなわけで今のところは、こんな調子で、面倒な交渉も含めて一緒に楽しんで働いてはおりますが、一寸先は闇である事も頭には入れています。そんなドライな覚悟もまた不可欠なのです。

さてさて、もうすぐ2015春夏のセールスがスタートします。今月のニューヨーク・メンズを皮切りに、8月のラスベガス、9月のパリ、10月の東京、と、セールスサーキットが続きます。今シーズンはどんなライドになるのか楽しみでしかたありません。

次回のレポート+は、ニューヨークのレポートになると思います。お楽しみに!

 

 
東ロンドン、ショーディッチにある我がエージェントC53のショールーム



気鋭の靴下ブランドAyame’の活動記録。現在年2回、東京、パリ、ニューヨーク、ロンドンにてコレクションを発表、Made in Japanの靴下を世界に発信中 あがおか・あや/Ayame’socksデザイナー/桑沢デザイン研究所卒/2007年Ayame’設立



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