20年春夏ピッティ・イマージネ・ウオモ フィレンツェに有力ブランド揃う

2019/06/18 06:30 更新


 【フィレンツェ=小笠原拓郎】20年春夏ピッティ・イマージネ・ウオモ展の招待デザイナーイベントが充実した。パリから「ジバンシィ」を迎え、ミラノからは「MSGM」が参加、ロンドンからは「プロナウンス」が発表の場を移した。他都市のメンズコレクションが枯渇するなかで、フィレンツェが何ブランドも集めた格好だ。

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 緑豊かな丘の上の庭園に黄色を放つバルーンが飛んでいる。「ジバンシィ」はそんなリラックスしたラグジュアリーな空間で、美しいカットのテーラーリングとスポーティーなスタイルを組み合わせた。

 素肌に着るブルーのスーツとコートのトーン・オン・トーン、フィルムのようにギラリと光るコート、ベージュピンクのスーツやノータイでシャープなカットで見せる。縦長のシルエットのテーラードコートも素肌に長いスカーフを首から垂らして、官能的なムードを作る。それは、90年代にエディ・スリマンの描いたサンローランの男性像と重なる。当時のサンローランと違うのは、きれいなテーラーリングの一方で、スポーツを背景にしたストリートスタイルも揃えていること。

ジバンシィ

 身頃にテープをグラフィカルに走らせたブルゾンにクロップトパンツ、シャツは袖や後ろ身頃にボリュームをとって風をはらんだフルイドラインを描く。足元にはアシックスとの協業で作ったスニーカー。重厚なゴブラン織りやブロケードのコートもオートクチュールメゾンとしての物作りの背景を感じさせる。

ジバンシィ

 「MSGM」はフィレンツェ郊外にあるスポーツアリーナの中でショーをした。真っ暗な会場の床に水面が揺れるプールの映像を映し出して、実際には存在しないプールの周りをモデルが歩くという演出。春夏の軸になるのはトーン・オン・トーンの色使いとセットアップのバリエーションだ。ペーズリーのバンダナ柄のショートパンツセットアップや、タイダイの同じトーンのセットアップ、水面が映るプリントのセットアップといったラインナップ。ハーフパンツのセットアップが充実する一方で、きっちりと構築的なテーラードジャケットがアクセントとなる。レパード柄が途中で色が変わるアイテムやデッキシューズに描かれたグラフィティーで、エキセントリックな強さを加えた。夏らしい明るくキャッチーなコレクションに仕上がった。

MSGM


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