【ロンドン=小笠原拓郎、若月美奈通信員】20~21年秋冬ロンドン・メンズコレクション3日目のショーはわずかだが、新しいプロジェクトを紹介するブランドのプレゼンテーションなどが相次いだ。全体を振り返ると中国系デザイナーとサステイナブル(持続可能)な物作りをアピールするデザイナーが目立ったシーズンだ。
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マーティン・ローズは、縮小傾向にあるロンドン・メンズで自らのポジションをアピールした。ショー会場に選んだのは夜の小学校の教室。無邪気な子供たちの作品が飾られた教室に子供の歌声が流れる。しかしその歌声はあっという間に違うリズムにかき消され、ローズの迫力のストリートスタイルに飲み込まれていく。
ダブルブレストのテーラードジャケットにジーンズ、スポーティーなマウンテンパーカ、サイハイのウェスタンブーツ。一つ間違えばダサい80年代風ジーンズコーディネートも、ローズにかかれば他のブランドにはない独特の存在となる。モデルたちは片側だけソバージュのようにしたヘア。ジーンズには花をかたどったブリーチ柄やストライプが描かれ、ジャケットにはシャドーパターンで描くタイポグラフィーが透けて映るようにのせられる。
コバの張ったドレスシューズに黒いパテントのパンツやドレスなど、エキセントリックな要素は時に醜悪にもなりかねないのだが、ストリートのパワーと混ざり合ってローズらしさとなる。ニットのブルゾンやセーターをマフラーのように首に巻き付けるスタイルも、いかにもローズらしい手法。デムナ・ヴァザリアのもとで「バレンシアガ」のメンズラインのデザインを担当していたというのも、このバランス感を見れば納得できる。
(写真=大原広和)
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