【ロンドン=小笠原拓郎】20~21年秋冬ロンドン・メンズコレクションは、ロンドンらしいサステイナビリティー(持続可能性)を背景にしたコレクションが相次いだ。持続可能な素材の調達や素材のリサイクル、多様性、職人のサポートと伝統的な織物工場への継続した発注など、様々な手法でサステイナブルなファッションビジネスへの一歩を示すブランドが目立つ。協会も指針を出すなど、サステイナブルなロンドンのイメージを強調している。
(写真=大原広和)
チャールズ・ジェフリー・ラバーボーイのコレクションに、舞台のようなストーリーテリングの楽しさが戻ってきた。前シーズンは大英図書館で静かなコレクションを披露したが、この秋冬はスコットランドを背景にした力強いストーリー。会場には精霊が宿っているかのような巨木が置かれ、満天の星空が輝く。長いチェーンのヘッドピースやモヘヤのようなウェーブヘアのモデルたちは、巨木に祈りを捧げるようにして歩き回り、伏して、踊る。もっともストーリー仕立てのようなショーでも、服自体のリアリティーは以前より増している。アイコンともいえるタータンチェックのセットアップ、マーブル模様のような抽象柄のセットアップ、レトロなフラワードレスにはタッセルが揺れる。ポンポン刺繍のセットアップやドレス、ボーンでフレアラインを作るカットワークドレスなど、どこかクラシックでレトロなムードも感じさせる。
コンセプチュアルでストーリー性のあるコレクションとは別に、物作りにおいてはサステイナブルを意識したマニフェストも発表している。生地と原材料を持続可能な調達にしてリサイクルやオーガニックへ移行する、製品とパッケージにおけるプラスチック量を減らす、職人の仕事を支援して売り上げに伴いスコットランドのタータンチェックメーカーをサポートすることなどを明らかにした。
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