19~20年秋冬パリ・コレクション リブランディングのショー相次ぐ

2019/03/01 06:29 更新


 【パリ=小笠原拓郎、青木規子】19~20年秋冬パリ・コレクションは新クリエイティブディレクターによるリブランディングのショーが相次いだ。創業デザイナーの歴史のどこを抽出しどこを強調することが今の時代につながるのか。その知識と技術が試されている。先月、急逝したカール・ラガーフェルドを思い出しながら、今の時代のリブランディングのあり方を考えさせられる。

(写真=大原広和、ランバンはブランド提供)

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 メゾン・マルジェラは1月のオートクチュールのエッセンスをより具現化したプレタポルテを見せた。「白鳥の湖」が流れる中で、ジェンダー(性差)の概念を超えたアンドロジナスなスタイルが前シーズンに続いて登場する。クチュールと同じように、ヘリンボーンなどのメンズテーラーリングに使われる素材とグラフィカルなプリントがコントラストを成す。

 ブルゾンやコートの背中に描かれるのは、デジタルチックなピンク色になった白鳥。大きくビルドアップされたショルダーがポイントで、ジャケットやコートは袖山の高い太いスリーブに切り替えられる。

メゾン・マルジェラ
メゾン・マルジェラ

 襟を抜いて着る白いクッション素材のコートは、そのふわふわとした風合いと襟元のカットがまるで白鳥のようにエレガント。服をカットアウトして枠組みだけを残した「デコルティケ」のデニムパンツ、パンツがトップへと変容するアイテムの入れ替わり、ハ刺しのステッチワークで見せるアンフィニッシュドの美しさ。これまでも使ってきたテクニックもたくさんあるが、美しいカッティングを感じるのはパンツスーツ。ロールアップの色と背中のグラフィックとともに、カットの美しさがさえる。前シーズン、ジョン・ガリアーノが提唱した「ジェンダーフルイド」(流動する性差)の考え方は、今シーズンすっかり違和感なく、自然な服の美しさの中に収められた。

メゾン・マルジェラ
メゾン・マルジェラ

 ランバンは新クリエイティブディレクターのブルーノ・シアレッリによる初のコレクションを見せた。

 ニットドレスとセーラーディテールが特徴で、ニットドレスはカーディガンとのアンサンブルやラメ使いで細く長いシルエットで見せる。ブルゾンやジャケットはセーラーカラーにリボンのような襟元の装飾。ダッフルディテールのジャケットやセーラーバッグなど、海を思わせるアイテムは他にもある。ロックフェスティバルでかぶるようなつば広の帽子がかつてのロエベの帽子に似ていることから、「ジェイ・ダブリュー・アンダーソン」からの影響を指摘する声も聞かれた。

 しかし、グリーンやペールブルー、ブラウンやパープルといった色には、ランバンらしさを感じることもできる。パッチワークレザーブルゾンや象眼ファーコート、顔のイラストプリントなどの柄もポイントとなった。

ランバン

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