19~20年秋冬NYコレクション「マーク・ジェイコブス」

2019/02/15 06:29 更新


 【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】19~20年秋冬ニューヨーク・コレクションは、レトロなムードやボリュームシルエットといった、この間のトレンドをなぞるコレクションが目立った。新しいライン、カットが生み出せないまま、鮮やかな色や中間色など、さまざまな色を軸にして変化をつける傾向も見られる。とはいえ、脱スポーツ&ストリートへの転換点となった前シーズンの流れはニューヨークにも広がっている。きっちりとしたテーラーリングやドレススタイルが目立つシーズンだ。

(写真=catwalking.com、ランディ・ブルック)

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 マーク・ジェイコブスはとても小さな舞台を作って、2回に分けてショーをした。ここ数シーズン、継続している大きなシルエットは秋冬も健在。コクーンシルエットやAラインのケープやコートは、襟元から共地のストールを巻きつけ垂らす。ニットキャップに飾ったフェザーやスポットライトに輝くスパンコールが、大きなフォルムと相まってどこかダークなムードを漂わせる。


 デコルテを強調しながら肩にボリュームをのせたドレスやフェザー刺繍のドレスの一方で、パンツルックが多いのも特徴。ラメのグレンチェックのパンツスーツやタキシードがさりげなく差し込まれ、ボリュームコートにもいろんなパンツを合わせている。ぼやけた柄もミステリアスなムードを後押ししている。ストライプやチェックはオンブレのようにあいまいに、フラワードレスの柄もどこか焦点がぼけている。そんな中で、時折鮮やかな色がアクセントとなる。ダブルフェイスカシミヤのドレスはペールグリーン、シルクモアレのドレスは鮮やかなイエローで出来ている。


 ぼやけた柄と手仕事で見せるドレスは美しく、ニューヨークの注目ブランドではあるのだが、かつてに比べるとキャッチーな抜け感のようなものが感じられなくなった。ルイ・ヴィトンとともにパリとニューヨークの両側から強力にトレンドを推進する立場ではなくなったが、自らのブランドで作り込みと抜け感のバランスで輝きを取り戻せるのかどうか。ニューヨーク復活の鍵を握る一人だ。

詳しくは明日の繊研新聞・電子版で



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