【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】フィービー・ファイロが「セリーヌ」を退任したことで、大人の女性のエレガンスを軸にした市場を誰がリードするのかが話題となっている。そこに一つの答えを出したと言えそうなのがザ・ロウだ。19~20年秋冬、ミニマルな中に収めた美しさで、自らの世界を一歩進化させた。シェイプとドレープの作り方が独特で、エクリュやスチールグレーの抑えた色がそのカットの迫力を際立たせる。(写真=ブランド提供写真)
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透明感のあるシルクシャツはふんわりとしたスタンドカラー、そこに襟なしのテーラードジャケットやコートを重ねて静かに主張する。ぎゅっとウエストシェイプを利かせたカッティングは、そのままハイウエスト位置でドレープをつくることも、ボタンを外して落ち感とボリュームを楽しむこともできる。
パイル状の毛足を生かしたドレスとそこに重ねるシアリングコートの上質なタッチ、パンツスーツに挟みこんだ白いシャツの丸いヘムライン、肩から後ろへドレープを流したドレスの量感。細部にまで美の視点が行き届いている。これまでも縦長のシルエットを軸に、ミニマルなカットの上質なコレクションを続けてきたが、一段ステップを上がった印象。これに市場がどう反応するのか注目したい。