【ロンドン=小笠原拓郎、若月美奈通信員】19~20年秋冬ロンドン・コレクションは、前シーズンから大きく変わったエレガンスの流れをどう受け止めて新しいラインを出すのか注目されていた。そこで主要ブランドが見せたのは、今までの自分のスタイルやテクニックをベースに少しだけ新しい要素を加えたもの。劇的に新しい何かを描くよりも、緩やかに自分たちのラインを進化させることを選んだ。
(写真=ブランド提供)
【関連記事】19~20年秋冬ロンドン・コレクション 伝統柄を再解釈
クリストファー・ケインは、ダッチサテンの張りと光沢にビニルのケミカルな色を組み合わせながらシンプルなラインに収めた。この間のセクシュアリティーをベースにした重いコレクションから一歩抜け出して、軽やかなカットと色のメリハリが心地よい。ダッチサテンのコートにビニルのカラフルな襟を飾り、ドレスの胸元やジャケットのポケットにもブルーや赤のビニルパーツが輝く。同じブルーや赤のビニルバッグは、持ち手がついた小さなサイズだ。
ダッチサテンとともに目立つのはレース。サテンとレースを切り替えたドレスは、ミニからマキシまで揃えている。
バルーンのプリントや星空のような大小のドットのドレスとともに「RUBBERIST」などのタイポグラフィーのドレスも出した。
ミニマルでフェミニンなドレススタイルの中に、ケミカルな要素を差し込むのはケインのシグネチャー的手法でもある。ビニルパーツの中に油と水のように分離する2色の液体を入れる手法は、11~12年秋冬にも使ったもの。そのテクニックを今の時代に合わせてチューンナップして見せた。