【ロンドン=小笠原拓郎、若月美奈通信員】19~20年秋冬ロンドン・コレクションは、有力ブランドの参加が減り低迷感は拭えないが、ショーの数はいつにも増して多い。デビュー間もない若手のプレゼンテーションやファッションカレッジの卒業ショーもあり、新進デザイナーのショーケースという立ち位置を印象付けている。初日は21のショーとプレゼンが公式日程に組み込まれるという過密スケジュール。若手に加えて、一昔前に新進デザイナーとして活躍した後に休止していた復活ブランドの参加も見どころとなった。
(写真=ブランド提供)
【関連記事】19~20年秋冬NYコレクション「マーク・ジェイコブス」
アンソニー・シモンズとマックス・ペアメインによるシモンズ・ペアメインが初めてロンドン・コレクションで単独ショーをした。シモンズは94年にセントマーチンBA(学士課程)卒業、20年前に新人デザイナーとして活躍した。ペアメインは同世代の著名スタイリスト。この二人がコンビとなってスタートしたブランドは、英国のオンラインセレクトショップのマッチズファッションドットコムと組んで、本格的に販売される。
会場になったのはマッチズドットコムの小さなスペースだ。そこに登場したのはユーティリティースタイルを背景にしたコンパクトなセットアップ。パッチ&フラップポケットとスナップボタンを使ったレイヤード、バイアスの生地の切り替えで変化を作っていく。温かみのある白いケーブルセーターは身頃の途中で黒い鋭角なグラフィック柄に変わる。カーキとグレーがキーカラーで、カーキの花柄のセットアップにラメでロゴを描いたカーキのブルゾン、グレーのスウェット地のスナップボタン付きレイヤードトップといったアイテムが揃う。パンツは生地をバイアスに切り替えてスナップボタンをアクセントに。後半は子供部屋のカーテンに描かれそうな鮮やかな動物たちのプリント柄。シャツとパンツのセットアップやレイヤードスタイルのベースに使う。アイコン的なポケットやスナップボタンのディテールが分かりやすく、キャッチーな人気を集める可能性がある。ユーティリティーを背景にした軽快なスタイルは、パリのマリーン・セルなどとも共通するアクティブに生きる女性像を描いている。