東コレ18春夏 SPAによるシーナウ・バイナウ続々

2017/10/24 04:30 更新


 ウィーク終盤には、多数の顧客を招待したSPA(製造小売業)ブランドのショーが相次いだ。各ブランドとも、シーナウ・バイナウの施策や春夏物の受注に力が入っており、一般のデザイナーズブランドのショーとはまた違った熱気がある。

(五十君花実、写真=加茂ヒロユキ、大原広和、ハレはブランド提供)

【関連記事】サカイとアンダーカバー 圧倒的なエネルギー集まった

 トウキョウベースのユナイテッドトウキョウは、「立ち上げから3年間、順調に成長してきた」という判断から、11月の香港出店を控えて東京で初のショーをした。会場に入ると、まず手渡されるのは写真付きの絵型表。素材やデザインの詳細、価格、店頭納品時期などが記してあり、既に販売中の商品もある。開始前に全てを種明かしするような手法に若干面食らうが、それだけ売る気は満々だ。東京の街の風景が壁面に映し出され、太鼓の生演奏が始まりショーがスタート。レディスは、背面にびっしりと刺繍が載ったトレンチコートや、パッチワーク風のジャカード柄ブラトップとラップスカートのセットアップといった、手の込んだアイテムが揃う。メンズもパイルジャカードのテーラードコートなど、挑戦的な商品を揃えた。原価率の高い商品で競争力を高め、業界に新風を吹かせてきた業態だけに、絵型表で価格を確認すると刺繍トレンチもパイルジャカードコートも5万2000円。「これを上場企業のブランドがやるなら、中小のデザイナーブランドはもっとアグレッシブにならないと」と感じる内容。ショー後には、同会場にラックを並べて、ショーに出さなかった商品も含めて受注を取った。

ユナイテッドトウキョウ

 アダストリアが郊外SC中心に出店するグローバルワークも、ウィークに初参加した。ファミリー向け業態としての親しみやすさは残しつつ、柄と柄の組み合わせを中心としたスタイリングの妙や小物使いによって、ぐぐっとスタイリッシュなイメージに仕上げており、実際に店頭で見てみたいと思わせる商品が盛りだくさんだ。スタイリングを担当したのは、モード誌などで活躍する遠藤彩香。野外フェスなどで活躍しそうな「リバティ」プリントのポンチョを生かした、アスレジャー感覚のスタイルを充実した。あえてリバティのイメージにあまりない地図やリンゴ柄を採用し、ギンガムチェックやストライプのインナーと合わせる。ポンチョは既に販売しており、各1万円。

グローバルワーク

 アダストリアからは、ハレも前シーズンに続き参加した。スモークのたかれた空間で見せるのは、メンズ、レディスともに、サンドベージュや白といったニュアンスカラーを生かしたビッグフォルムのレイヤードスタイル。前季に続き、今回もシーナウ・バイナウに力を入れている。写真家、草野庸子の作品をプリントしたカットソートップやシャツなどのアイテムは、ショー直後から販売開始。パープルのストライプシャツやパンツなどは、米のロバート・ゲラーとの協業で、18年1月発売予定だが、既にサイト上で受注を開始している。

ハレ

 合同ショーを見せたミューズパラドックストーキョーは、からくさ(横浜市)がラフォーレ原宿などに出店するエイチフラクタルのオリジナルブランド。ショーは、まずミューズからスタート。黒く油で汚れた顔の男女のモデルが着るのは、白いランニングトップと鎖のサスペンダーでつったスラックス、腰に巻きつけて着るつなぎなどのハードなスタイル。ジップの引き手をたくさん付けたモヒカン風ヘアやコンバットブーツも激しい。パラドックスは、鮮やかな赤と黒の対比で見せるモードストリート。肩をぱっくりカットしたスウェットトップやカーゴショーツから垂れ下がって揺れるひもがポイント。

ミューズ

18年春夏繊研レディストレンドセミナーはこちら



この記事に関連する記事