東コレ18春夏トーガ 艶っぽく強く、東京に凱旋

2017/10/20 04:30 更新


 通常は東京のウィークには参加していない人気ブランドが、今季はアマゾンジャパン主催による〝アットトウキョウ〟に参加する形で東京で発表している。ウィーク中盤には、「トーガ」と「ブラックアイパッチ」がショーを開催。場所の選定、会場演出など、どちらもスペシャルな内容となっており、いつにない盛り上がりを見せている。

(小笠原拓郎、五十君花実)

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 ロンドン・コレクションの常連となったトーガ(古田泰子)が、久しぶりに東京でショーをした。会場となったのは夜の国立新美術館。薄暗い空間にあるエスカレーターからモデルたちが次々と降りてくる。ロンドンで見せたショーとは違う光景、しかもロンドンには出てこなかった男性モデルがたくさん混じっている。男性モデルが着るのはトーガのメンズラインではなく、ロンドンで見せたレディス。アシンメトリーに襟がずれたディテールのシャツにハイウエストのパンツ、ドレススタイルの男性モデルもいる。夜の美術館のどこか未来的な空間で見ると、そんなメンズスタイルも不思議と違和感がない。ブランド創設20周年という記念すべきコレクションは、穴あきのディテールが特徴となる。ぱっくりと背中を割ったテーラードジャケットにラメが輝く人工的なビニールドレス。なまめかしさと強さが共存する。思えば、トーガはいつも、ストリートの自由な空気やローエッジの生々しい強さ、艶やかなムードにあふれていた。最新コレクションもやはり、アブストラクトなカットの持つ力を感じさせるもの。フィナーレに登場した古田泰子の潤んだ瞳と笑顔に、走り続けてきたトーガへの誇りのようなものを感じることができた。一人エスカレーターで上がっていく古田の後ろ姿に、会場から温かな祝福のまなざしが注がれた。

トーガ
トーガ
トーガ


 「すごいバイクスタントをする旧車會(きゅうしゃかい)が出るらしい」。そんなうわさが広がっていたブラックアイパッチ(デザイナー非公表)のショー会場は、渋谷の観世能楽堂跡地。ユースカルチャーに根差すストリートブランドとしてはコンサバな会場選びだと思いきや、跡地であることを生かして、舞台の壁にはグラフィティーアートで大胆に松の絵が描かれており、期待が高まる。会場が暗転すると、まず登場するのは爆音でウィリー走行する改造バイク。次に現れるスケボー少年たちは、能舞台で所狭しとトリックを披露する。モデルはインビテーションにも貼られていた〝取扱注意〟のステッカーをプリントしたフーディーや、ロゴプリントアイテムのレイヤードスタイル。最後はバイク3台の周りにモデルが集まり、爆音のコール(バイク音)で閉めた。同ブランドは、沖縄で独特のバイクカルチャーを築いているスタント集団「ギマタイ」と組み、これまでに写真集や動画を作成している。ストリートカルチャーというとスケボーやグラフィティーなどを思い浮かべがちだが、暴走族の延長にあるこうした文化も日本独自のストリートカルチャーだ、という切り口が新鮮。

ブラックアイパッチ
ブラックアイパッチ

(写真=加茂ヒロユキ、大原広和)

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