18春夏パリコレ ナチュラルとケミカルのムード重なる

2017/10/05 04:28 更新


 【パリ=小笠原拓郎、青木規子】18年春夏パリ・コレクションは、ナチュラルなムードとケミカルなムードが重なり合うように登場している。ロンドンで見られたラスティックな気分は、パリでも多くのブランドが取り入れている。そこにPVC(ポリ塩化ビニル)などを使うことで、単純なナチュラルとは違った見え方にしていく。このナチュラルとケミカルのミックススタイルが、春夏のビッグトレンドとなりそうだ。

(写真=大原広和)

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 シャネルは、パリの歴史的な建造物グランパレの中に、巨大な滝と渓谷をしつらえた。その滝つぼの周りにある遊歩道をモデルたちが歩いてくる。ナチュラルな気分とケミカルな要素を重ねるという春夏トレンドを、巨大なショーセットとともに表現する。アイコンともいえるツイードのジャケットやスーツは、裾がカットオフのラフなディテール。それと合わせるのは透明なPVC。ハットやブーツ、パーカのケミカルな透明感をナチュラルなツイードと重ねていく。

 その一方で、もさもさと揺れるストリングディテール、ダメージ加工のデニムジャケットと、ラスティックなアイテムやディテールを強調する。ショーの音楽もナチュラルとケミカルのミックスを象徴するかのように、ビョークの生々しい歌声だ。後半は、水が流れるような柄をのせたタイダイ風プリントドレス、グラデーションの刺繍のドレスへと続く。軽やかな透明感と作りこんだ素材や刺繍のコントラストで、ぴたりと春夏のムードを運んだ。

シャネル
シャネル
シャネル


 アレキサンダー・マックイーンは、英国にあるグレートディクスター・ハウス&ガーデンズのイングリッシュガーデンからインスピレーションを得た。解体されたトレンチコートはジャカードの切り替えやレイヤードで見せる。フラワープリントのキルティングをボンディングしたトレンチコートもある。

 ドレスは胸元で布を折り返したベアトップディテールやペプラムが特徴。ニットのランジェリードレスは軽やかにラッフルが揺れる。箔(はく)のシルバーコートには白い花の刺繍がのせられ、オーガンディドレスはフラワープリントとともに布の動きで花びらのように繊細に見せる。淡いピンクから赤、コケのようなグリーンといった色をベースに、マックイーンらしいテーラーリングから繊細なドレスまでを揃えた。

アレキサンダー・マックイーン


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