18~19秋冬パリメンズコレ 伝統技術で王道デザイン

2018/01/19 04:28 更新


 【パリ=小笠原拓郎】18~19年秋冬パリ・メンズコレクションは初日、若手から実力派までが幅広く登場した。インフルエンサーの活用や協業ビジネスで新しい市場を開拓している若手ブランドがいる一方で、実力派ブランドは伝統的なハンドクラフトの技術を背景にした王道のデザインを披露した。

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 ヴァレンティノは、奇をてらった新しい切り口ではなくシンプルに見せることで、その手仕事の高い技術から生まれるエレガンスを明確に示した。ダブルフェイスカシミヤのコートの肩や袖口に飾るスタッズ刺繍、花の象嵌(ぞうがん)刺繍のブルゾンやコート、ケーブルニットのコートに重ねた花刺繍、スター柄のアップリケブルゾン。これまでも見たことのある柄や刺繍ではあっても、それでもなお、ため息が出るような美しさに仕上げている。アメリカのデニムスタイルを手仕事で変えたシーズンや、前シーズンのスポーツスタイルなど、テーマを立ててそこにクリエイションを寄せていくというショーの見せ方ももちろんある。しかし、特定のテーマがなくても、クリエイションの強さとプロダクトのクオリティーで納得させられてしまう。

 そして、デニムやスポーツアイテムよりも、ドレススタイルにこそヴァレンティノの真骨頂はあると考えさせられる。フラミンゴピンクとグリーン、ベージュ、あるいはマスタードとピスタチオ、ベージュ。シンプルなアイテムの組み合わせも、その色出しの巧みさだけで新鮮に感じることができる。むしろ協業や、ロゴを強調したダウンジャケットやダウンコートは必要ないとさえ思えてくる。

ヴァレンティノ
ヴァレンティノ
ヴァレンティノ

 ファセッタズムは新しいショー会場に場所を移して、鮮やかな色で充実のコレクションを見せた。ストリートの気分をはらんだビッグシルエット、赤やイエローを挟んだ鮮やかな色、ストリングスのディテール。さまざまや要素を取り入れながら軽やかでパワフルに仕上げている。糸くずのようなマスクをして不気味な笑顔で歩くモデルたちが、無邪気な強さとエネルギーをまき散らす。束ねたヒモが揺れるMA-1、ベースボールシャツのセットアップ、しわ感のチャイナスーツにダウンベストの重ね。新しいテクニックを入れているが、アイテム自体は得意とするものばかり。しかし、そこに不思議なパワーが宿っている。東京ストリートを背景にした伸びやかなクリエイションが、また一つ新しい殻を破った。

ファセッタズム
ファセッタズム




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