ゆったりシルエットにフェミニンディテール
ニューヨークのショールーム「ザ・ニュース」は、リアルなライフスタイルを反映させたブランド、アメリカのデザイナーにはないディテールへのこだわりが表現できるブランドを高く評価している。17年春夏コレクションで人気の高いブランドは、そうした要素を持ちつつ、フェミニンさを加えたブランドだ。
「パブリックスクール」は、ファッションだけでなく音楽やアートなどストリートカルチャーをバックグラウンドに持つ。それがとても時代に合っていて、パワーがあると評価している。春夏はブランドの原点に戻り、パブリックスクール(公立校)に通う女の子をイメージして、プレッピーを強調した。
プリーツスカート、胸に小さなワッペンをつけた丸首セーター、胸に大きなレタリックを入れたフーディーなどトラッドアイテムが豊富に揃う。そこにオーバーサイズのケーブルセーター、ポロ襟のスウェットシャツ、だぼだぼのワイドパンツを加えた。メンズライクな服とフェミニンな服を交ぜたスタイリングが、バイヤーに人気があった。
「6397(シックススリーナインセブン)」はトムボーイルックを現代の女性のワードローブとして提案している。春夏はそこにフェミニンな要素を加えて、トムボーイが少しずつ成長していく感覚を入れた。エスカルゴ風に切り替えたデニムのスリップドレス、総レースのジャケット。そこに洗いをかけたシルクストライプのパジャマスーツやコットンリネンのストライプドレスなど、リラックスアイテムをミックスした。
「クルー」は「コンテンポラリー市場の中で息の長いブランドの一つ」と大きな信頼を寄せている。市場のトレンドにもとても敏感で、春夏は「昔のドレープ使いを復活させてほしい」というバイヤーたちの声を反映させた。ラッフル、レース、アイレット、プリーツを入れたカットソーのアイテムが揃う。
「見えないところに細かいデザインがあり、マニアックで隅々までデザイナーの思いが行き届いたコレクション」と評価するのは「ハイク」。トレンドとは必ずしも合致していないが、素材は機能的で着心地がよく、タイムレスに着られるのがセールスポイントだ。春夏は特にナイロンが多く、日本製のナイロンは肌触りがいいと好評だ。
「ルールロジェット」は、アメリカのデザイナーにはできないカッティングや縫製、素材とディテールへのこだわりを評価している。フェミニンな中にパンクなデザインが入っていることも気に入っている理由だ。Tシャツドレスは、ポリエステルサテンのスカート部分の裾に繊細なレースを飾る。後ろ中心にはドレープを入れ、胸元にはザ・クラッシュの曲の文字を入れた。ふくれ織りのドレスも、ふんわりしたスカート部分のボリュームが可愛く、小売価格で2500㌦だがオーダーにつながった。
(ニューヨーク=杉本佳子通信員)