【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】17~18年秋冬ニューヨーク・コレクションで、マスキュリンなテーラードジャケットにひねりを加えたスタイルが広がっている。ジャケットやコートにタブのディテールやニットパーツを加えて変化を作る。
■カルバンクライン アメリカへのオマージュ散りばめて
ラフ・シモンズによるカルバンクラインのファーストコレクションは、アメリカへのオマージュを散りばめた。スポーツ、ウェスタン、プレッピー、プラスチックの質感、グラマラスなフェザー、デニムのワークウェア、レザー、キルト。アメリカらしさを切り取って、シンプルなフォルムの中で組み合わせる。
アメリカンポップアートをほうふつとさせる明るいカラーパレットが、カルバン・クラインにエネルギーを吹き込む。「このコレクションは多様性の賞賛だ」とラフ・シモンズ。冒頭は両胸フラップにパープルを使ったブルーのシャツ。ウェスタンのニュアンスを入れながらクリーンに仕上げる。中に白いタートルネックを着て、脇に白いラインを走らせた真っ赤なパンツをコーディネートする。
グレンチェックのテーラードジャケットは鮮やかな赤やグリーンのリブニットスカートを合わせて、クラシックにリラックスした遊びを加えた。きれいな色のフェザーのドレスの上には、透明のプラスチックを重ねる。レザーのモトクロスジャケットには、メタリックなシルバーのバラをアップリケ。メンズでも、オーソドックスなグレンチェックのスーツを透けるヌードカラーのトップと合わせて、これまでのカルバン・クラインとの違いを見せた。
■アレキサンダー・ワン
アレキサンダー・ワンはハーレム地区の廃虚となっていた劇場でショーをした。会場を入ると古いビール工場の倉庫のような作り。来場者にはビールがサーブされる。ビニールに覆われた狭い廊下を進んだ先の暗い廃虚化したホールで、観客全員スタンディングでのショーだ。黒とグレーを軸にしたシャープなテーラードスタイルがベースの、ダークなムードを作った。
ジャケットの上からニットのスヌードのようなパーツをかぶせたり、スリーブレスジャケットとミドリフニットを組み合わせたりして、クラシックなテーラードに変化を作る。テーラードのトップを、レギンスのようなタイトなボトムできりりと見せる。胸元をばっさりと開けてデコルテを強調したコンビネゾンもキーアイテム。グレンチェックのスーツもボトムはコンビネゾンになっている。ダークカラーのアクセントになるのは、メタリックのボールチェーン。コートにトリミングしたり、ミニスカートのヘムに飾ったりして動きを作った。
■シース・マルジャン
シース・マルジャンは布の動きとギャザーのドレープを生かしながら、鮮やかな色のコントラストで新鮮なイメージを作り出す。トップやスカートはブランケットのようなスクエアの布でフルイドラインを描く。トップやパンツにジップを取り入れて、そこにギャザーを寄せていく。淡いミントグリーンのケーブルニットはフロントにノットを作り、トレンチコートにはフリンジディテールを取り入れる。ブルーサテン、パープルベルベット、ボルドーグリッター、オレンジシャギーファー、素材と配色のバランスが面白い。
(写真=catwalking.com)
続きは繊研新聞2017年2月14日付10面をご覧ください