ZNTクリエイション(大阪市)はセレクトショップ、SPA(製造小売業)、レディスブランドなどを企画、運営してきた善田和樹さんが今年3月に設立した。個人事業で手掛けてきたオーダースーツ事業を広げるため、法人化した。顧客は経営者層が多く、新事業の構想もある。
(古川富雄)
経営者層軸に拡大
オーダースーツに取り組むことにしたのは、20代のころからスーツが好きだったから。スリムな体形に合うものがなく、ウエストを詰めるなどして自分なりにスーツ姿を追求してきた。40歳を過ぎると、自らの体形変化が気になってきた。様々なファッション企業での経験を生かせるとも考えた。
2年前にオーダースーツのブランド「ヴィルトゥリサイア」を始めた。ウールなどの生地も扱うが、特徴的なのは、極めてストレッチ性の高いナイロン・ポリウレタンの生地を数種類揃えること。縦横にぐんと伸びるため、ジャケットは肩の動きが楽など、ストレスが少ない。裏地がなく、家庭洗濯できる。スラックスはウエストゴムで、センターにピンタックを入れる。冬に向く生地もある。イタリアンスタイルを基本に、モダンな感覚を特徴とする。中心価格は15万円。自社で採寸し、工場に生産を依頼、1カ月半ほどで納品する。

顧客はスーツを着る機会が多い経営者層が中心。善田さん自ら積極的に異業種交流会に参加する。知り合った経営者や個人事業主と仲良くなり、人を紹介してもらうことも多い。この積み重ねで顧客が増えてきたことから今年6月、大阪のビジネス街、本町にオフィス兼サロンを開いた。
セレクト店も計画
今は全て1人でこなしているため、手が回らないこともあるという。いずれ社員を雇い、新たな事業も手掛けたいと思っている。経営者たちに話を聞くと、「普段何を着たらいいか悩んでいる」という人が多いことから、こうした人たちを対象にしたセレクトショップも計画している。
善田さんは54歳。週5回、10キロ以上を走る。フルマラソンには30回以上参加してきた。自己ベストは2時間54分で、50分を切るのが当面の目標。「走るオーダースーツ屋」を実践している。