米富繊維が工場発新ブランド「ディスイズアセーター」 〝ふつう〟の毎日にときめき与える

2020/11/22 06:28 更新


「ディスイズアセーター」の第1弾は〝ふつうのもの〟(左は大江富造会長)

 山形県のニット工場、米富繊維は10月初旬から新ブランド「ディスイズアセーター」を立ち上げた。ファクトリーブランドとしてスタートから10年が経つ「コーヘン」とは違った切り口の「研究開発型・協業型ブランドとしてじっくり育てていきたい」(大江健社長)考え。自社ECサイトを軸に販売する。10月24日~11月23日、「ザショップ」の4店(渋谷、横浜、丸の内、京都)で期間限定店を開催する。

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 1952年の創業以来、培ってきたニット作りの技術を生かしながら、改めて「セーターとは何か」を問い直し、新たな価値を提案するのが目的だ。本社を置く山形県山辺町はかつて「ニット産業の町」と呼ばれ栄えたが、やがて時代の変化の中で衰退し、現在はその面影も薄い状況にある。そうしたなか、高度なニットテキスタイルの開発技術などを磨きながらセーターを編み続けてきた米富繊維は「〝持続可能性〟が地域社会のテーマとなる時代を歩む上で、それにふさわしいセーターを提案するニットファクトリーブランドを立ち上げたい」と考えた。

 新ブランドのキーワードは「イノベーション」と「コラボレーション」。新しい素材や新しい技術を積極的に取り入れること。そして、異業種の企業や人やブランドと積極的に協業すること。「それらを通してセーターの新たな地平を開拓し、普通の毎日にときめきを与え続けるようなセーターを、10年も20年もあるいは世代を超えても愛され続けるようなセーターを、新しいけれど古くなることのない価値を宿したセーターを提案したい」という。

 新ブランドの第1弾は「A1(回答1)として、セーターはふつうのもの」の販売を開始した。このセーターはカシミヤフレンチメリノという1本の糸から生まれた。この一着のための全くのオリジナルで、珍しいフランス産メリノウールにカシミヤをブレンドして作られた糸。それを5ゲージの天じく編みのシンプルできれいな形のセーターに仕上げた。ユニセックスで黒、黄、茶、緑、青、紺、2万4000円。

 第2弾は来年秋ごろ、協業型のアプローチでの商品開発を計画している。

フランス産メリノウールにカシミヤをブレンドした糸を使った

(大竹清臣/繊研新聞本紙20年10月16日付)



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