ニューヨーク市は9日、ショッピングモールを再開した。早速、ハドソンヤードに行ってみた。チャプタ―イレブン(米連邦破産法11条、日本の民事再生法に相当)適応中のニーマンマーカスグループはすでに、ハドソンヤードに旗艦店としてオープンしたニーマンマーカスを再開しないと決めている。正面にニーマンマーカスのロゴをしっかり入れてしまったハドソンヤード。ロゴはいずれ撤去されるのだろうか。
ニーマンマーカスの正面入り口にはセキュリティーらしき人が待機していた。出入りする業者のために、必要に応じてマスクを手渡しているという感じだった。
ニーマンマーカスと同じフロアにあったダラス発の高級セレクトショップ、フォーティーファイブテンも閉まったまま。正式な発表はないが、フォーティーファイブテンの親会社、ヘッディングトン社が大量解雇していることから、再開はないとみるのが妥当だろう。個人的には、ニーマンマーカスより店のつくりも品揃えも魅力を感じていたので非常に残念だ。
個人的にショックを受けたのは、グルメフード店のシタレラが閉まっていたことだ。ネットでチェックすると、「臨時休業」になっているので、もしかしたら再開するのかもしれないが、詳細は不明。隣接するワインショップのみオープンは寂しい。ハドソンヤードが昨年3月にオープンした時は、盛大なオープニングパーティーが行われ、実に華やかだった。その時、生牡蠣や寿司などを大判振る舞いして特に盛り上がっていたのが、このシタレラだった。その1年半後にハドソンヤードが今のような姿になろうとは。「盛者必衰」というにはあまりにも短命だ。
店はすべて9日に再開したわけではない。がらんとした薄暗い空間が気になる中、ユニクロとMUJIは再開した。両店とも、他の店に比べたらお客さんが入っていた印象だ。
ある一角に来ると、展望台「エッジ」の券売機が並んでいた。この展望台は、今年3月11日にオープンしたもので、オープンしてまもなくコロナで臨時休業に追い込まれた。多くの観光客動員が見込まれていた施設だ。その向こう側にはハドソンヤードにちなんだグッズのお土産やさん。高級ショッピングモールだったはずなのに、観光客頼みになったということか?しかし、今は観光客も期待できない。人通りが少ない通路をスケートボードで遊ぶ小さな子供たちがいた。ハドソンヤード内のコンドミニアムに住むお金持ちの子供たちの遊び場になっているということか?
ハドソンヤード正面玄関のすぐそばには、ソウルサイクルがテントをはって臨時営業していた。フィットネスバイクを使ったエクササイズで急成長していたソウルサイクルだが、室内という形態がコロナで裏目に出た。ニューヨーク市では、スポーツジムも9月初めに再開したばかり。それでも感染を恐れてジムにはもう行かないと尻込みするニューヨーカーは多い。こうした屋外施設であれば、お客に体験してもらいやすいと考えたのだろう。先週オープンして、10月末まで続けるという。生き残りをかけて必死な様子が伝わってくる。利用者が訪れると、1人1人体温を測っていた。
ハドソンヤードは、フェイスブックが昨年11月、30フロアにわたる14万平方メートル弱をオフィスとして使うことで契約した。当時は、従業員たちによる消費が期待されたが、コロナで在宅勤務が増え、状況は一変した。ニューヨークの賃貸用商業不動産ブローカー、ジェイクレスのジョー・アキノ社長は、1年後にオフィスに戻ってくる人の数は68%くらいになるかもしれないが、100%戻ることはないとみている。
レストランも、9月30日からやっと室内での飲食再開が認められた。ハドソンヤード内のレストランは、高級レストランの「タクルーム」がすでに閉店を決めたが、残りが再開すれば、もう少し活気が戻ってくるのだろうか。しかし、当面入れられる人数はキャパの25%。順調にいけば11月1日から50%に増やされるが、それでも採算が合わなくて最終的に閉店に至るレストランは出るだろう。ニューヨーク州は9月9日まで34日連続で感染率1%未満を維持しているが、その代償は大きい。今年は毎年恒例のハロウィーンパレードも中止になった。ニューヨークの地下鉄とバスでマスク着用を拒否する人には、9月14日から罰金50ドルが科せられることが決定した。当面辛抱の時は続きそうだ。
89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ)