よく使う駅の広場で、サックスを吹いている人がいる。時刻は大体夕方。路上演奏と聞くとやかましいイメージもあるが、しっとりとした選曲が夕暮れ時にマッチしていて、聴衆も多い。通りがかりの記者もよく癒やされている。
最近、こうした一般市民のパフォーマーを場の活性化に生かす取り組みが増えている。富山市では、富山駅周辺の団体と共催で、駅前の広場などをパフォーマーに開放する制度を設けている。音楽や大道芸など多様なジャンルから募集。審査と認定が通れば、指定場所で活動できる仕組みだ。公共空間を使い、街の魅力を育てる狙いがある。
市民の中からアーティストを募り登録制にする商業施設もある。館内での催事などに際し、パフォーマンスを依頼。来館者の楽しみにもつなげている。
SNSの普及で自己表現のハードルは下がった。そのリアルな舞台を用意することは、表現者にも、訪れる人にも有意義だ。
プロの卵が育つ可能性もある。その場所の文化や個性につながるきっかけになることを期待したい。
(桃)