「男性社会だから」。就職活動の中で言われたそうだ。その場にいた女子学生は商社の営業職を希望していた。産休・育休の話になったが「妊娠したら辞めてしまうから前例がない」とのことだった。
今年で男女雇用機会均等法が制定されて40年、女性活躍推進法が施行されて10年になる。男女格差の是正を目指し女性の登用を推進しているものの、繊維・ファッション業界含め女性の管理職はなお少ない。
世界経済フォーラムが公表したジェンダーギャップ指数によると、24年の日本の順位は146カ国中118位だった。
どうして女性の管理職が少ないのか。女性が辞めてしまい、管理職候補がまず少ないからだ。辞めてしまうのは、長時間労働や家事・育児の負担の偏りなど様々な事情から、働き続けられないからだ。
職場環境整備、キャリア形成支援、適正な人事評価など、管理職登用の前に企業がやるべきことは多い。性別役割分担の意識も変えなければならない。
先の商社は別の言い方ができたのではないか。不安に感じた学生は、別の商社に就職を決めた。
(坂)