昨年に続き、今年も人材難は共通課題だ。アパレルメーカーや小売業だけでなく、製造業の間でも人材は欠かせないキーワードになっている。
先日、あるレディスブランドを取材した時のこと。国内の物作りにこだわっているのだが、それについて興味深い話を聞いた。「品質が高いからという理由だけじゃない。互いにコミュニケーションできることが念頭にある」
0から1を生み出すクリエイション、ビッグトレンドもかつてに比べて減った気がする昨今。一方で、安くていい物は世の中に数多く、コンペチターも多数いる。だからこそ、誠実な物作りを大事にし、差別化を図りたいと言う。ふだんから協力工場と意思疎通を欠かさず、消費者の声や反応を積極的に伝えるようにしている。
コミュニケーションを重ねるからこそ、理解や信頼が生まれ、実現できる物作りの可能性が広がり、同じ志で挑戦もできる。ブランドと工場が工賃やロットよりもまず、こうした視点で意見交換できることが大切なのでは。それが価値や共感を生み、ひいては人材難の解消にもつながっていくと思う。
(畔)