着なくなった服を交換するイベントが全国各地で開催されている。衣料廃棄問題への関心の高まりでコロナ禍以降は特に盛んだ。
イベントを数年実施しているある企業は、商業施設からは集客装置として喜ばれるが、単独での収益化は難しいと話す。大学や専門学校の学祭に服を提供することも増えており、法人向けの取り組みに手応えを感じているそうだ。
その企業に、大手企業から「イベントを社内でできないか」と相談があった。理由を聞くと、育休からの復帰を控える社員とのコミュニケーションの場として活用したいとのことだった。
社員同士の親睦を深めるイベントが減っている昨今、育休中の社員が会社にあいさつに来るのは業務時間内が大半。忙しそうに働く同僚たちとじっくり話す時間は取れず、あいさつを交わしただけ、という人も多いだろう。服の交換イベントを社内で開催すれば、コミュニケーションが自然と生まれ、服を介して仕事以外の話にも花が咲く。服の交換イベントの新たな価値に気づかされた話だった。
(金)