《視点》不屈の魂

2024/07/18 06:23 更新


 将棋タイトルの一つ、「叡王」を藤井聡太竜王・名人から奪取した伊藤匠七段。彼の生い立ちやこれまでの歩みは非常に興味深い。

 藤井とは同学年で、小学生時代には、ある将棋大会で彼を負かし、「藤井を泣かせた男」としてのちに有名になる。ただその後は、2人の棋力の差は開き、14歳2カ月でプロとなった藤井は、最年少記録を次々と更新。早指し棋戦として知られ、藤井が最年少優勝を果たす「朝日杯」では、羽生善治2冠(当時)と藤井の対局(準決勝)を、まだ奨励会員(プロになる前の棋士養成機関)だった伊藤が記録係を務めた。

 その後プロとなり、藤井と公式戦で戦うようになってからも屈辱は続く。「竜王戦」と「棋王戦」では1勝もできず、公式戦で11連敗を喫した。よく心が折れなかったと思う。

 ビジネスの世界にも1番はいる。その道で先行する企業や人に、大きな差を感じ、「とても勝てない」とあきらめそうになるときもあるだろう。しかし、伊藤叡王のように不屈の魂は持ち続けたい。

(潤)



この記事に関連する記事