《視点》ひとけ

2024/05/29 06:23 更新


 新しくできたコンビニエンスストアをのぞいてみた。珍しく駐車場が広く、アマゾンの宅配ボックスまである。品揃えも豊富だ。そして、セルフレジが3台。そこまではいいのだが、カウンター内も無人なのだ。売り場にもスタッフはいない。横では、外国人が操作に四苦八苦し、なんとか支払いにたどり着いていた。私も、払い込み伝票を手に、「これは、セルフで対応可能なのか…」と考えてしまった。おそらくバックヤードには人がいるのだろう。探せば呼び出しボタンでもあったのかもしれないが、わざわざ呼び出すのにストレスを感じ、店を出てしまった。

 人手不足とキャッシュレス化を追い風に、各所でセルフレジの導入が進む。多くの店はまだ有人レジと併用かサポートスタッフが近くに待機するが、いずれ冒頭の店のようなスタイルが一般化するのだろうか。人から接客を受けることは限られた人だけのぜいたくな消費体験になっていくだろうとの声も、実感を持って耳に響くようになった。ただ、本能的に客は人気(ひとけ)のある店にひかれるもの。収益のバランスを探りつつ、ぬくもりのある店を残してほしいと思う。

(維)



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