《視点》アップ・オア・アウト

2024/04/24 06:23 更新


 取材で知り合ったある百貨店マンの話。SC化戦略の要となるリーシング担当として有力テナントの誘致を次々と決める活躍を見せ、執行役員になった。「将来は社長か?」と見ていたが、その数年後、退職してしまった。

 転職先に表敬訪問に行き、退職の理由を尋ねると、執行役員には当然ながら任期があり、「期間中に取締役に引き上げられるか、目立った成果を収められなければ辞める道しかない」とのことだった。

 組織上のルールとはいえ、あまりにもったいないと感じた。彼は当時、まだ50代前半。これからもっと力を発揮できただろう。「成果」の評価基準もよく分からなかった。

 外資系のコンサルタント業界では「アップ・オア・アウト」(昇進するか、さもなくば退職か)との考え方が主流で、日本企業でもそれを取り入れる会社が増えていると聞く。しかし、人脈がモノを言う業界で、こうした人事政策は妥当だろうか。彼は今、競合の会社で働いている。

(潤)



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