《視点》買う場所がない

2024/04/03 06:23 更新


 観光地の土産物屋にあるカプセルトイが欲しくなり、小銭を入れると子供が2、3人集まってきて赤面した。素知らぬ素振りで「大人の威厳」をなんとか貫き通したつもりだ。

 あるカプセルトイ専門店は17年、大人女性に特化したカプセルトイ専門店を開業した。軒先に置かれ、「子供が買うもの」という従来のイメージを変えるため、白基調のシンプルな内装に、大人向け商品を前面に置き、子供が寄ってくるのを避けた。死角を作り外から見えにくい環境整備で大ヒット。同時に商品の多様化も進み、ブームの素地を作った。「需要がないのではなく買う場所がないだけ。ニーズに気付いたからにはその人たちに特化した店を作るべき」と担当者。

 あるメンズ専門店では、自分で服を選べず「買う場所に悩む」男性に特化し、合わせやすい定番品にこだわる。服好きの店主に、もっと鮮度の高い服を扱いたくならないかと問えば「それ以上に、着る服に悩む人の手助けをしたい」。その覚悟に客が付いてくる。

(桃)



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