「名前は知っているけど、何をやってるかは知らない」――日清紡ホールディングスのCMソングにある一節だ。約120年前、日清紡績として創業し、繊維を生業(なりわい)としてきた。直近の連結売上高に占める繊維事業の比率は7%。柱の事業は無線通信(29%)、マイクロデバイス(15%)、ブレーキ(33%)となっている。
このほど発表した中期経営計画(24~26年度)では、「センシング、無線通信、情報処理技術で社会課題へソリューションを提供する」を掲げた。無線通信、マイクロデバイスにますます力を入れる考えだ。
同社は事業を通じ、環境問題を中心とした社会課題を解決するという基本的な考え方がある。現在の事業ポートフォリオは、最適解を探り続けてきた結果だ。繊維はどうか。3年後も7%の計画で、緩やかとはいえ収益改善・拡大を描く。繊維事業を手放す会社もあるなか、「繊維は方針にドンピシャの事業」として期待する。CMは「いま、必要な会社。ニッシンボー」で締めくくられる。〝必要な会社〟の一角を繊維が担い続けられるか。これからの3年に注目したい。
(嗣)