最近、ファッションを「コンテンツ」にしてプロモーションを仕掛ける様々な企業を目にする。一企業の活動なら何とも思わないが、都内で先日開かれたイベントに、東京都の多額の予算が使われたことに違和感を覚えた。目的は、都のファッション産業の活性化だが、本質的には貢献していないように感じたからだ。
ショーに衣装提供したブランドの服が売れたのなら意味があった。しかし11月も半ばというのに、店頭には相当な在庫が残る。結局、大半の一般消費者は、タダ見のできるショーを満喫しても、身銭を切るまでには至らなかったようだ。
多くのデザイナーは、クリエイションの「コンテクスト」を持って、ファッションの付加価値を作り上げる。背景には、製品にする産地企業や縫製工場が存在する。そういった努力が報われなかったことが残念だ。
単純に、日本製のアパレル製品を対象に、キャッシュレス決済のポイント還元に予算を使えばよかったのではないか。しかるべきブランドや企業がそれなりに恩恵を受けるはずだ。
(渉)