《視点》ブランドタグ

2023/08/25 06:23 更新


 幼いころから収集癖がある。石や枝から始まって、プラモデル、CD。大人になってから集めている物の一つに、服に取り付けられているブランドタグがある。

 部屋の整理をしている時にタグを見返すことがあった。なかには、服は着なくなって廃棄あるいは売ってしまったのに、タグだけ残っている物もある。そのタグを見て、今は手元にない服のことを思い出すことも。タグを一つひとつ見てみると色々な工夫があっておもしろい。タグの形状、材質、厚みや、服に取り付けるひもや金具などのパーツに違いがあってこだわりが垣間見えるし、ブランドの性格を端的に表している物であることに気付く。

 そんなタグを作る副資材企業は私の取材領域の一つ。基本的にはブランドがあっての存在。黒衣的な役割だが、新しい材料や加工を追い求め、顧客であるブランドの価値を守り、時には高めようとたゆまぬ努力を重ねてきた。

 その努力はデザインだけではない。顧客の調達・生産戦略に沿った供給体制を整えなければならないという前提条件の中で、高いパフォーマンスを求められる。難易度の高い仕事だ。

 主役ではないけれど、その服が本物である証しの一つであり、ブランドの品格を守る欠かせないサポーター。服を買う時、いろんなタグをぜひ見比べてみてほしい。

(嗣)



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