《視点》ホーチミンメトロ

2023/06/27 06:23 更新


 うだるような暑さのなか、2人乗りや4人乗りのスクーターが左右から走り込んでくるベトナム・ホーチミン。その街中を次の取材先に向けて急いでいると、地下鉄入り口の標識が見えた。開業が当初計画より遅れに遅れている都市鉄道1号線(ホーチミンメトロ)だ。計画決定から15年、着工から10年経った今でも工事は続けられており「つい最近、工事中に電源が落ちた」との話しも聞いた。

 路線は市中心部から東方面へ延びて、新興富裕層の居住地である副都心トゥードゥック市を通り、ドンナイ省の手前までを結ぶ全長約20キロの都市鉄道。このメトロ開通に期待を寄せるのはホーチミンの日系百貨店社長。「地下鉄によって市民の生活様式が大きく変わる」と言う。

 ホーチミンの朝夕の通勤スタイルはスクーターが主力だ。ヘルメットをかぶり、排気ガスを避けるためのマスクを装着。突然のスコールにもレインコートを羽織り、ずぶぬれになって帰宅するのが日常だ。しかし、地下鉄による通勤が定着すると「人々は身だしなみに気を配るようになり、ファッションやコスメへの関心が劇的に向上する」とみている。

 開通は現在のところ今年末を予定している。メトロは〝豊かな内需〟を運び込んでくるのか興味がある。

(民)



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