ボタンをとめ、新調したであろうピシッとしたスーツを着ながら、キャリーケースを引きながら歩く。4、5月ごろに街でしばしば見かける光景だ。1人で歩いている人もいれば、集団でいることも多い。恐らく、今年の新入社員だろう。
少し前に企業の人事担当者に若手育成について取材する機会があった。最近の新卒含めた若手社員は「優秀な人材が多い」と評価する声が多い一方、「横並びを気にする」との課題も。同期と比べ「目立ち過ぎていないか」が気になるようだ。昔からあることだが、SNSが発達した今だからこそ、陰口などに余計に敏感になってしまうのかもしれない。
ある大手アパレル企業の社長に新入社員へのエールを聞くと、「ファーストペンギンを目指して」と言っていた。ペンギンの群れの中でエサを取るために勇気をもって最初に海に飛び込むペンギンのことである。
誰だって最初に行動するのは不安だ。でも、飛び込んだ経験は大きな財産になる。成功と失敗は結果論。その行動をやゆする同期が仮にいるとするならば、それは果たして仲間と言えるだろうか。
もう6月。スーツにもそろそろしわが増えてきたころかもしれない。無理せず、体に気を付けながら、ファーストペンギンを目指してほしい。
(森)